FXや仮想通貨で借金を作ってしまった場合の債務整理

[掲載日]2023/12/08 145 -

借金をしてしまう原因の1つに、FXや仮想通貨での失敗を取り戻そうとして借金をしてしまう、というものがあります。
FXは、外国為替について信用取引といって所持金以上の取引をする(レバレッジをかけて取引をする)もので、損失が膨らんだ場合には、追加で証拠金を預託しないと強制決済されてしまいます。このため、追加証拠金を入金するために借金をする人がいます。
また、国外のFX会社では、クレジットカード決済を用いて入金を行うところも多いため、証拠金の入金でクレジットカードの枠を目一杯利用する人もいます。
仮想通貨についても、現物の仮想通貨を購入する(現物と言っても電子的な物なので、取引業者に預託するのが一般的です。)以外に、信用取引をすることがあるため、FXと同じ問題が生じます。また、価格変動(ボラティリティ)の大きさは外国為替よりもさらに大きく、FX以上にギャンブル性が高いと言えます。
レバレッジをかけて取引することについて
FX取引では、少額の証拠金を拠り所にして大きな金額の取引が可能なレバレッジが一般的です。一方で、これは投資家にとって大きなリターンを生む可能性がある反面、同様に大きな損失をもたらすリスクが存在します。
レバレッジを誤って活用すると、最初は余裕資金で取引をしていた人でも、負けが込んでしまった結果、借金が急増し、債務整理が必要な事態に発展する可能性があります。
何よりも大切なのは、適切なレバレッジの水準で、損失をコントロール(=適切な損切)をしながら取引を行うことです。
また、日本のFX会社の場合、レバレッジは25倍までと規制されていますが、海外のFX会社はさらに大きなレバレッジをかけることが可能になっています。
債務整理をする時の問題
①任意整理について
債務整理の方法のうち、任意整理を行う場合は、主に借り入れと返済を行っていた期間の長さが問題となります。一般的な貸金業者は、FX取引での損失による
借入であったとしても、そのことのみを理由に任意整理ができないということは少ないです。しかし、借り入れと返済を行っていた期間が数か月から2年程度という短期間になると
任意整理の主なメリットである長期の分割に応じてくれず、短期間の分割で返済しなければならなくなることがほとんどです。
そして、FXなどでの借り入れでありがちなケースは、取引量を増やすタイミングや追加証拠金が必要になったタイミングで一気に借り入れを行い、
それでも損失が拡大して一気に返済が不能になるというものです。このようなケースでは借り入れ・返済の期間が短いのが特徴です。そのため、上記のようなケースに当てはまると、任意整理を行うことが困難になります。
②破産について
破産が認められると、対象の債務は全て返済義務が無くなりますが、それだけ破産が認められるかどうかの審査も厳格に行われます。
破産して債務の返済義務がなくなるということを「免責」と言いますが、FXなどの投機的な取引は、ギャンブルなどと並ぶ浪費の一種として、免責が認められない「免責不許可事由」にあたります。
免責不許可事由があると、文字通り面積が認められないと思いがちですが、事情を考慮して裁判所が裁量で免責決定を行う「裁量免責」という形で、免責が与えられることが一般的です。
したがって、FXなどにお金をつぎ込んで借金を増やしてしまったことを十分に反省し、FXなどから手を引いて、堅実な経済生活を送っていること等の事情を裁判所に明らかにすることで、免責決定を得ることを目指すことになります。
このような判断材料に基づいて裁判所が決定を出す以上、FXを続けながら免責を得ることは難しいでしょう。
③個人再生について
個人再生は、破産と異なり、裁判所の認可を受けて借金の額を圧縮したうえで分割返済するというものですので、直接的な免責不許可事由という考え方はありません。
不当な財産流出行為(破産の場合であれば破産管財人に否認されるような行為)と認められれば借金の額の圧縮に影響することはありますが、それで手続きができないということはありません。また、一般的なFXなどで借金を増やしてしまったというだけでは不当な財産流出というような判断を受ける可能性は低いです。
もっとも、一般的な個人再生である小規模個人再生では、負債額の過半数を占める債権者の反対があれば認可決定がおりませんので、ギャンブル的なFX等で借金を増やしてしまったということを問題視する
債権者があれば、借金の額の圧縮・分割弁済が認可されない可能性があります。
