破産すれば借金をすべて返さなくて済むの?~破産による免責について~

[掲載日]2021/12/04 247 -

破産をする最大の目的は、借金を返さなくてよいという裁判所のお墨付きをもらうという点にあります。
破産において借金を返さなくてよいという状態のことを「免責」といい、借金を返さなくてよいという裁判所のお墨付きのことを「免責決定」と呼びます。
法的には、破産の申し立て(借金を返せないという状態にあるので裁判所による整理をもとめるという申し立て)と、免責の申立て(借金を返さなくてよいという決定を出してほしいという申し立て)は別々なのですが、裁判所では、所定の書式による破産申立てがあれば、破産の申し立てと免責の申立てが同時にあったものとされています。
通常は、破産の開始決定が出された後に、免責についての審査、債権者による意見申述期間を経て、免責決定が出されます。
免責決定がおりると、「破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる」(破産法253条1項柱書本文)ことになります。
ただし、例外はいくつかあります。
①免責決定が出ない場合
免責不許可事由という、浪費(飲酒飲食、ブランド品購入、ギャンブル、投機など)、偏頗弁済(借金の返済が不能になった後で一部の債権者(例えば親族、勤務先の会社など)に返済をしたこと)、財産の隠匿、詐術による借り入れなどの一定の事情がある場合、裁判所は原則として免責決定を出しません。もっとも、様々な事情を考慮し、裁量で免責決定が出されることはあります。
詳しくは、こちらの記事を参照してください。
この場合、免責決定が出されないので、借金は引き続き返さなければなりません。
②非免責債権である場合
一定の債権については、免責決定が出されたとしても引き続き返済する義務があります。非免責債権などと呼ばれるものです。
もっとも一般的なものは、税金や国民健康保険料です。さらに、離婚後の養育費(適切な金額の範囲内であることが条件です。)、故意の不法行為により人を傷付けた場合の損害賠償金、下水道料金(上水道料金は免責されます。)などが非免責債権となります。
破産をする人のうち、相当な割合の人は税金や国民健康保険料を滞納していますので、そのような人は弁護士や司法書士に破産手続きを依頼した後でも税金や国民健康保険料については、自分で役所に行って分割での支払いの話をしています。
