債務整理ラボ > 記事一覧 > お役立ち情報・コラム > 破産で借金が免責されない?~免責不許可事由とはなにか~

破産で借金が免責されない?~免責不許可事由とはなにか~

この記事は約 4 分で読めます
[掲載日]2021/11/03 218 1
座り込む女性

自己破産の申し立てをしたからといって、必ず免責が許可されるとは限りません。破産法252条1項各号に列挙された事由がある場合には、免責が原則として不許可となります。この破産法252条1項各号に列挙された事由のことを「免責不許可事由」といいます。ただし、免責不許可事由がある場合であっても、裁判所の裁量によって免責が許可されることがあります(裁量免責。破産法252条2項)。

免責とはなにか
免責というのは、借金の返済をしなくてよいと裁判所に認めてもらうことです。自己破産の目的は、この免責決定を得ることにあります。ただし、借金をすべてチャラにしてしまうことは債権者に大きな迷惑をかけてしまうことなので、破産者に良くない事情がある場合まで免責決定を出すことはできません。そのため、免責不許可事由というものが定められています。つまり、免責を認めるべきでないような、破産者の良くない事情が列挙されています。

免責不許可事由とはなにか
どのような事由が免責不許可事由に当たるかについては,破産法第252条第1項各号に定められています。それによれば,以下の事由が免責不許可事由に該当するとされています。

・債権者を害する目的で債権者に配当すべき財産を「隠匿」したこと
・債権者を害する目的で,債権者に配当すべき財産を「損壊」したこと
・債権者を害する目的で,債権者に配当すべき財産を他人に贈与してしまうなど債権者に「不利益となる処分」をしたこと
・債権者を害する目的で,債権者に配当すべき財産の管理を怠るなどして「破産財団の価値を不当に減少させる行為」をしたこと
・破産手続開始を遅らせる目的で,いわゆるヤミ金などから利息制限法に違反するような高利で金銭の借入れをするなど「著しく不利益な条件で債務を負担」したこと
・破産手続開始を遅らせる目的で,クレジットカードで購入した商品を低廉な金額で換金してしまうなど「信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分」(換金行為)したこと
・特定の債権者に対してだけ特別な利益を与える目的またはその他の債権者を害する目的で,法的な義務もないのに,その特定の債権者に対する債務について担保を設定したり,返済をしてしまう(非義務的偏頗弁済)などの行為をしたこと
・収入に見合わない買い物や遊興などの「浪費」によって,著しく財産を減少させまたは過大な債務を負担したこと
・パチンコ・パチスロ・競馬・競艇・競輪などの「賭博」をしたことによって,著しく財産を減少させまたは過大な債務を負担したこと
・株取引・FX取引・先物取引・仮想通貨取引などの「射幸行為」をしたことによって,著しく財産を減少させまたは過大な債務を負担したこと
・破産手続開始の申立てがあった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に,すでに借金の返済ができなかったり,借金の返済を停止していることを知りながら,そのような事実がないと信じさせるために嘘をつくなどして金銭を借り入れたり,クレジットカードで物品購入をするなどの行為をしたこと
・日々の出納帳・決算書・確定申告書など業務及び財産の状況に関する帳簿,書類その他の物件を「隠滅」「偽造」「変造」したこと
・一部の債権者だけわざと除外するなど,虚偽の債権者名簿・債権者一覧表を裁判所に提出したこと
・破産手続において裁判所が行う破産審尋などの調査において,説明を拒みまたは虚偽の説明をしたこと
・脅迫・暴行・欺罔行為など不正の手段により,破産管財人,保全管理人,破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと
・過去に自己破産で免責許可決定を受けたことがあり,その過去の免責許可決定確定の日から,今回の免責許可申立ての日までに,7年が経過していないこと
・過去に個人再生の給与所得者等再生で再生計画認可決定を受けたことがあり,その過去の再生計画認可決定の日から,今回の免責許可申立ての日までに,7年が経過していないこと
・過去に個人再生のハードシップ免責の許可を受けたことがあり,そのハードシップ免責許可を受けた過去の再生計画認可決定の日から,今回の免責許可申立ての日までに,7年が経過していないこと
・債権者集会等で破産に関して必要な説明をしなかったこと
・裁判所に財産に関する書類等を提出しなかったこと
・裁判所または破産管財人の調査に協力しなかったこと

裁量免責とは

免責不許可事由があると,絶対に免責の許可が受けられなくなるわけではありません。

免責不許可事由がある場合であっても,裁判所が諸般の事情を考慮して,免責を与えることが相当であると判断した場合には,裁判所の裁量によって免責が許可される場合があります(破産法252条2項)。

これを「裁量免責」といいます。

したがって,免責不許可事由があるから自己破産はできないと諦める必要はありません。

実際、免責不許可事由があるものの、裁量免責で免責決定を得る人が大勢います。

上にあげたような事情がある方も、一度弁護士などに破産手続きについて相談することをお勧めします。

破産で借金が免責されない?~免責不許可事由とはなにか~へのコメント

    さん

    […] 破産で借金が免責されない?~免責不許可事由とは何か […]

コメントをする

ログインしてコメントする※コメントは承認後に表示されます。